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■ ふしあわせ
いざ仇を目の前にすると、私は思わず怯んでしまった。
私よりいくらか幼い容貌、私よりいくらか小さな背丈。
しかし、見れば憎しみが沸いてくるには違いなかった。
その細い腕が振りおろした刃が、私の「彼」を引き裂いたのでしょう?
盗み見る度袖口から覗く白い腕が、私をじりじりと追い詰める。
なんておそろしい。
なんて穢らわしい。
そんな腕、なければいいのにと。
なのにその腕は今、私をやわらかく抱き締めている。
初めて会ったときよりは随分と太く、男らしくなったその腕が。
崩れ落ちそうになった私の肢体を、力強く支えている。
おそれどころか、安息すら感じられた。
このまま彼を許して、融け合うことができたならどんなに幸せだろう。
私の顎にかかる指が、私のそれに重なる唇が、私を見据える大きな瞳が、抱きしめる腕が、あなたのものでなかったのなら、どんなに気が楽だろう。
息さえできない、こんな海の底のようなまどろみでは。
抱きしめられて目を瞑るたび、、私のなかに、しとしと血の雨が降る気配がする。
私よりいくらか幼い容貌、私よりいくらか小さな背丈。
しかし、見れば憎しみが沸いてくるには違いなかった。
その細い腕が振りおろした刃が、私の「彼」を引き裂いたのでしょう?
盗み見る度袖口から覗く白い腕が、私をじりじりと追い詰める。
なんておそろしい。
なんて穢らわしい。
そんな腕、なければいいのにと。
なのにその腕は今、私をやわらかく抱き締めている。
初めて会ったときよりは随分と太く、男らしくなったその腕が。
崩れ落ちそうになった私の肢体を、力強く支えている。
おそれどころか、安息すら感じられた。
このまま彼を許して、融け合うことができたならどんなに幸せだろう。
私の顎にかかる指が、私のそれに重なる唇が、私を見据える大きな瞳が、抱きしめる腕が、あなたのものでなかったのなら、どんなに気が楽だろう。
息さえできない、こんな海の底のようなまどろみでは。
抱きしめられて目を瞑るたび、、私のなかに、しとしと血の雨が降る気配がする。